10月12日(月)、インバウンド向けコンテンツ体験会を庄内能楽館で行いました。
山形県では、県内でインバウンド向けに体験できるプログラムのさらなる充実を模索していて、庄内能楽館としても協力をしてまいります。今回は、庄内観光コンベンション協会(山形県庄内総合支庁内)と協力して、県の職員や観光協会、通訳案内士、県内在住の外国人の方々が参加して、研修会の形でイベントを実施しました。
内容は、すでに室町文化体験やその他の能楽体験教室で実施していたものを、よりコンパクトにまとめたものです。
コロナ禍によって途絶えてしまった訪日客ですが、特に東北のハブ空港へと成長した山形空港からのアクセスの良さもあり、庄内への訪日客は今後も大いに期待ができます。
庄内能楽館としても、本格的な能楽舞台を擁する施設として、文化交流の一翼を担いたいと考えています。
体験イベントスケジュール
- 解説 能の歴史
- 型とお道具
- 装束と能面
- 謡
- 能の鑑賞『船弁慶』
- 能楽師の先生方について
1.解説 能の歴史
能の歴史について、能楽師の先生より、おおまかに解説をしていただきました。
能楽は、日本の伝統芸能として位置付けられていますが、歴史は600年とも、原型は1000年とも伝えられるほど古いものです。
日本の歴史の中で、全国に数百か所も能舞台が現存し、結婚式の際には『高砂』が謡われるなど、とても身近な文化でした。
2.型とお道具
仕舞には一定の型があり、また、舞台への登場や所作にも、それぞれ決まった型が存在します。それらの解説に加え、簡素な能舞台で想像力を広げるための道具について、実物をお見せしながら、また実際に触っていただきながらお伝えしました。
短時間ではありますが、型、能管(笛)、小鼓(こつづみ)、大鼓(おおつづみ)、太鼓(たいこ)を、順番に体験していただきました。
3.装束と能面
装束は、能楽の舞台で演者が着る衣装です。能面は「おもて」と呼ばれるお面のことです。
実際の衣装、実際の能面を用いて説明をしていただき、さらに着用する様子もご覧いただき、舞台上の能役者の裏側を知っていただきました。
4.謡(うたい)
謡は、能舞台のコーラスのことです。おそらく、多くの参加者の方は、初めて耳にする能楽師の声に驚かれ、また感動を覚えられると思います。
歌い方も独特で、最初はなかなか聞き取りにくいですが、実は非常にゆっくりと丁寧に言葉をつむいでいます。
繰り返して聞くうちに、節回しが自然に出てくるのが能楽の謡です。
5.能の鑑賞『船弁慶』
実際に、能楽の舞台をご覧いただきました。
囃子方(はやしかた)、地謡(じうたい)、シテ・ワキが揃っての能の舞台。実際に体験いただいて、能の成り立ちを理解いただいた後には、舞台の楽しみも格別になること間違いなしです。
体験会参加者の声
実際に参加された方々からの評価は上々でした。
初めて体験される方がほとんどであったにもかかわらず、全体評価は「良かった」が100%。
とても励ましになる評価をいただきました。
- 謡(うたい)の体験もやってみたかった。
- 体験時の移動がスムーズだった。
- 思いの外、能楽師がフレンドリーだった。
- 酒田の能の歴史が聞きたかった。
- 実際に体験して、楽器演奏がいかに難しいか実感した。
- 間近で演目を鑑賞でき、とても良い体験ができた。 体験をしてから能を鑑賞することで視点が変わり、興味深かった。
参加された方々からの生の声を頂戴することで、プログラムの今後の改善と、さらなる充実につながります。試行錯誤ではありますが、宝生会シテ方の能楽師の方々や囃子方の先生方にご協力をいただきまして、地道に努力を重ねてまいりたいと思います。
ご協力いただいた能楽師シテ方・囃子方の皆さま
敬称略
笛 熊本俊太郎 小鼓 飯冨 孔明
大鼓 佃 良太郎 太鼓 小寺真佐斗
當山 淳司 辰巳大二郎 田崎 甫